お役立ちコラム

【終活に拍手】第二回 子供のいないご夫婦の落とし穴?

2020.11.13


『死は、全員が初体験。だから準備の仕方を知らない。しかし、しっかりとした準備をした人は家族から拍手喝采を受けます。』
今回から十一回にわたり、終活の情報を提供していきます。

『えー、主人と私が、築いた財産を、どうして主人の兄弟に渡さないといけないの?』
私が個別相談に対応していて、奥さんが驚いた声で反応されることによく出会います。

子供のいないご夫婦の場合、夫が亡くなった時には、夫の財産はすべて自分がもらえると思っている奥さんがほとんどです。
しかし、夫の兄弟にも4分の1の権利があるのです。

ですが、一般的には、夫の兄弟は4分の1を要求することは少ないです。
それは、夫婦が築いた財産だからです。人情として言いにくいということです。

しかし、奥さんは、ご主人の銀行預金や自宅の名義を変更するために、手続き上、ご主人の兄弟の実印と印鑑証明をもらわないといけないのです。兄弟として4分の1の権利を辞退するという書類にサインと実印を押印してもらうことが必要になるのです。
亡き夫の兄弟に、「頼む」という行為をすることが発生するわけです。

考えてみてください。夫の兄弟との関係が良ければ、そんなに問題ではないでしょう。
しかし、夫の兄弟と仲が悪いケースや、まったく交流がないというようなケースも世の中にはあります。
こんな時は、奥さんは困ってしまいますよね。

これを防ぐために、私どもでは、夫に『すべての財産を妻に相続させる。』という遺言を夫に作成するようにアドバイスしています。しかも、トラブルを防ぐために公正証書遺言で作成することをお勧めしています。
こうすると、奥さんは、亡き夫の兄弟には、サインも実印ももらうことなく、ご主人の財産を自分の名義に変えることができるのです。
たった一枚の遺言で、奥さんは、すごく楽になれるわけです。

ただし、遺言は自己流でするのではなく、専門家にご相談されることをお勧めします。


執筆者:田村滋規


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